直接来局の方、あるいは電話のお問合せで、漢方薬販売をお断りした事例集

2005年 09月 23日 の記事 (1件)


前回述べた出直しの、典型的な事例。

急性リウマチで高熱を発し、全身浮腫、特に下半身がひどい。

全関節の疼痛とともに、38度5分、病院で消炎鎮痛剤などが出るも、ステロイド剤は、まだ出されていない。

病院の帰りに、知り合いから紹介されて、我が方の漢方薬治療を求めて来局。

病院治療と同時に漢方を始めると、どちらがどう効いたのか、判定が出来なくなるので、今は漢方薬は使用しないほうが良い。

病院治療の結果を、充分に見届けてから、それでも思わしくなければ、その時にいらっしゃい、ということで、お帰り頂いた。

さぞや、肩透かしで、お気の毒ではあったが、止むを得ない。

病院治療を充分に行なわないうちに、漢方薬を出す訳には行かない。

それが、当方の薬局の方針である。

そのまま、永久にご縁が無くなることも多いが、この方は違った。

一週間後にやって来られ、病院治療により、疼痛は軽減し、発熱も、微熱程度におさまったが、浮腫が一向にとれない、ということで、イチイチの報告も、的確で、観察力もおありだし、理解力もまずまず。

それでは、ということで、必ず病院治療もこれまで通り、続けながら漢方薬治療を行なうこと。

そうすれば、漢方薬が加わることによって、配合のピントがあっていればいるほど、治癒機転が促進されることが、実感されるはずだから、よく観察されておくように、ということで、弁証論治に基づく、適切と思われる漢方薬製剤を2種類組み合わせてお出しする。

その後、大変順調に回復され、月日が大分たって白状されるには、あのまま、病院には行かず、漢方薬治療だけで、この通り、お陰さまで、ということであった。

あれから、10年近くもなるが、すでにリウマチ用の漢方薬錠剤も不要となり、思い出したように、貧血用の製品を買い求めに来られるが、一応の根治的な状態が、5年以上続いている。

このように、一旦は、お引取り願った場合でも、ご自分の疾患の、しっかりした認識と、漢方治療に対する決意の表明があれば、病院治療とのタイミングを見計らって、ご希望に添えることも多いのである。

やはり、タイミングとともに、ご本人の自覚、漢方治療に対する強い決意次第ということも、ご縁ができるか、出来ないかの分かれ目なのであった。

ことほどさように、小生は気難しい漢方薬局を経営しているのかもしれない。

石橋を叩くのは、患者さん以上に、こちらの方かもしれないのである。

だから、日頃から、お気楽に相談してもらっては困る、などと、常に逆説的な表現をせずにはおれない、トウヘンボク薬剤師では、あるのかも。
2005 09/23 21:43:10 | お断りした後に再来局例
Powerd by バンコム ブログ バニー