男たちには判らない


6月後半の土曜日は、雨の予報を覆し、爽快な青空が広がった。

気持ちの良い朝を迎え、朝食のあと、家の中のカビ掃除に1時間
掛けた後は、緑地公園わきの原っぱへ向かった。
2ヶ月休んだ、子供遊びボランティアに駆けつけるためである。

4年目になるこの野外活動は、いかにも北摂らしい高邁な思想と、
それを利用している普通の子供たちの、ナチュラルな動機のバランスが
とれた、市民運動である。

海外体験などのある普通の主婦が、使われていない遊休地の非経済的
有効利用を考えついて、ここまで定着させるまでに発展した行事だ。

行政からの上から目線でなく、商業者らの目的利用でもない。
本来市民というのは、こうあっていいのではないかという、新しさを
感じたので、私は3年前から希少な男性ボランティアとして手伝っている。

この試みが東京の杉並や世田谷、また三鷹あたりでなく、大阪・豊中
というのが良いと思う、
また岸和田や河内八尾あたりでもなく、というと叱られるが
いかにも北摂らしさを感じてしまう。



この日は、午後の一区切りが着いた後は、再び家にとって帰り、息子と
冷麺の昼食を作って食べるとすぐに、阪急電車を乗り継いで天六に向かった。
この青空は、長柄付近で見かけた阪急電車からの淀川風景である。

今度は何かというと、北区天神橋六丁目付近にある、銭湯の栄温泉が
この月末で廃業になるというので、「銭湯文化サポーターズ」のイベントが
開催されることを、2日前に知ったばかりであるが、折角の機会だからと
参加することにしたのである。



栄温泉は、北区では珍しい、御影石の床を残す、大阪の古式に則った
公衆浴場である。見学&入湯の前に、折角だからという機会なので、
天六にある住いと暮らしのミュージアムに入り、ここに復元されている江戸後半の
なにわの銭湯というものを見学して、お風呂屋さんの由来に着いて、勉強会をした。

参加者は解説者含めて、20名程度で、中心年齢は40代から60代くらい、
男性大半、女性ちらほらといったところである。


ミュージアムに来るのは、久しぶりである。
10年ほど前にこれが出来る前は、まだこんなに余裕の無い時代では
なかったが、その辺りから大阪市や府の財政赤字が、叫ばれ始めた。
皮肉な文化行政だが、この施設は面白いと思った。ただ15年20年を
過ぎると万博のように飽きられはじめ、移り気なナニワッ子は
おそらく来なくなってしまい、折角作った文化施設も、要らないのでは、
と新聞あたりで叩かれてしまうことを、繰り返しそうである。




この日の展示は、「江戸時代の天神祭」をモチーフとして、美しかった。

午後5時の閉館まで、1時間半の見学の後は、温泉に行き、男性と女性、
それぞれ分かれての、入湯タイムである。
団体で入るといっても、共同購入のチケットを使い、特別な気分はない。
小1時間の入湯のあとは、近所にある奄美料理店の「ていだ」に行き二次会となった。

ここまでの流れは、概ね破調もなく、こういう集まりなのかなと、思った。

で、二次会は、ここからがオフ会の妙味かもしれない。
狭い店の席に膝を突き合わせ、座った者同士で酒を飲むうちに、次第に打ち解ける。
半世紀、いや大昔から、酒の入る社交というものは、あった筈だ。
男たちは、おずおずと、オフ会用に作った名刺というものを差し出す。
私は手ぶらなので、「オフ会評論家」がいたらNGを出されそうだ。

この「オフ会デビュー」のような一瞬は、何ともビミョーな甘ったるいような
緊張感のない瞬間だ。軍事や政治、経済や商業でも名刺交換はあるのだが、
それは「肩書きの入った名刺」だから、緊張感が伴う。
三国志や戦国時代に、合戦で刃を合わせる前は、各々の旗印で相手を確認
したことにも、通じるようなものである。

こんな「猫が腹を見せる」ような名刺交換は、やっとられるかぁ!と「オフ会の狼藉者」
は最初は大人しくしておるが、しかし段々と興が乗るに連れて自己紹介していく。

気が付くと、結構喋ってしまった。 幾人かの方には強烈なインプレッション
も与えたような気もする。もう一軒、シマを変えて飲みに行き、遅い時間に
へろへろと、電車で長屋に戻った。
この時間から、風呂屋に行かなくてもいいだろう。また少し汗もかいたが。
面白い、忙しい一日であった。子供遊びのボランティアに、銭湯巡り。自由な
時間がたくさん増えた意義をいろいろと感じる。
銭湯に関していえば、私の場合、普段から風呂が無くて行っている立場なので
珍しいものを見るような視線はない。ただ、いろんな人が居るのだなあと思った。
2011 07/02 07:06:29 | 日記 | Comment(0)
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