下田逸郎という渋い歌手がいる。
私の中では吟遊詩人の位置づけだ。
20年ほど前、放浪に憧れていたころ、あるコンサートで
この人の歌を聴いた。
「大人のラブソングを歌いたい」
長いブランクから復活してきたかのようなコメントに
成る程と分かったように頷いてる自分がいた。
艶(つや)っぽい歌なのである。
男と女の世界。心と体、抱かれる風景
なのに寝るというシーンはない。
魂はまさぐりあい、永遠の真実を求めている
説明がくどくなった。
この日曜日に、ついに本人と酒を交わしながら
話をさせてもらう機会を得た。
音楽に目覚めた高校生の頃
キッドブラザースと帯同したミュージカル時代
九州・宮崎に対する思い、
故郷的なアイデンティテーへの枯渇
40年以上昔のことから「いま」のことまで
これから 来年のニューヨーク公演のこと
本能?、愛はむずかしい。何でだろう。それが面白い
からではないだろうか。
きょうで私も50才
大人のラブ・ソングを心に
もうちょっと歩み出していこう。