男たちには判らない
エプソンの写真スキャナーを使い、昔の写真の退色を修正しながらパソコンに取り込んでみました。
33年の月日を経た写真を、個人で公開出来るなんて、当時誰が思ったことでしょう。
日時は昭和52年11月13日。天候は雨のち曇り。当時私は18歳の高校生でした。友人のバイクの後ろに乗り出発です。



福岡県行橋市の隣町の我家をでて、現在は国道500号線になっている
豊津〜犀川から伊良原を経て野峠で大分県山国町に出る峠道があります。
これまでに何度となく通ったのですが、この写真を撮影した時は二度目でした。
前年に来た時は峠の福岡県側は未舗装で、伊良原付近では路傍を行く牛や
馬に驚きました。
1枚目の写真は大分県側の山国川の上流部です。この頃はまだ木造の橋が現存していました。



大分側のこの付近では既に舗装道路でガードレールもついています。しかし道幅は大変狭かったことを記憶しています。



これは違う日に撮った写真ですが、山国町の中心は鉄道時代の終点、守実温泉でした。
当時は終点駅がそのままバスの発着に使われて何ともいえないいい雰囲気が残っていました。
また昭和30年代まで走っていた森林軌道の跡も残っており、貨物の貯木場で積み替えていた様子が偲ばれました。



守実の次の白地駅。このようにそのままの姿で民家になり人が住んでいたのに驚きました。



下郷まで山国川に沿った国道212を下ってそこから分岐する県道を豊後森(玖珠町)へ。通称「裏耶馬渓」の景勝が広がります。
耶馬渓で一番憧れた「立羽田の景」(立羽田連峰)に遭遇し絶句しました。
背景の岩山を背に麓に並ぶ民家。雨の降るなか、中国の南画のような風景が広がっていました。



耶馬渓の美しさは、言葉で言い尽くせません。18歳の私は少し人間嫌いで
月日を経たこういう風景や廃止になった鉄道跡を訪ねるのが趣味でした。
老人みたいですね。



豊後森に着いた時はオートバイの後ろの私は雨でびしょびしょになっていました。
まだ残っていたキハ07との再会に喜んだ後、機関区の裏で火を焚いて服を乾かしました。今ではできませんよね(笑い)



豊後森に停車中の大分行きの下り客レ。おそらく森発の2635列車。
DE101175牽引、暖房のスチームが雨まじりの空の下に立ち上り晩秋らしさを漂わす。7年前は8620やD60が牽いていた。

豊後森から再び耶馬渓線の方に戻る。今度は深耶馬渓を
通るルートで、中間の町、柿坂に出ます。



名勝のひとつ、烏帽子岩だったか。



深耶馬渓の代表的名勝、一目八景。
寒いのも忘れて見入っていました。



さて、耶馬渓線というと有名なカーブの鉄橋。
これが津民の鉄橋で廃線後6年を経てサイクリングロードになっていました。


有名な「青の洞門」。禅海和尚が手掘りしたのは小さなわずかな区間で明治以降、自動車も通れる観光道路に昇格させ、観光資源に。
鉄道は撮影側の対岸を走っていました。




最後に残った区間の一時終点だった野路(のじ)駅。
昭和50年9月30日朝、私はここにいました。



最後の廃線区間より、上原(うえのはる)駅。
廃止後2年なので駅の看板がそのままです。



上原と真坂駅の間にあった小さな橋のあと。この下を何度かバイクでくぐった思い出も、今では集落ごと地形が崩され跡形もなく、つい淋しい感傷が残ります。



こちらは真坂駅。
2000年代まで残っていたが近年駅舎が撤去されました。



大貞公園駅。大きな駅舎は国鉄連絡の中津駅の構内が狭いため本社機能をここに持って来たため。昭和19年建設という時期も疎開の目的があったのではないか。
近所に中津競馬や紡績工場、晩年はダイハツの工場もあり活気があった。
この廃屋の2階は鉄道関係のごみ捨て場になっていて、反対にマニアがみたら宝の山だったかもしれない。
私はナニも知りません(笑い)



大貞にはこんな立派な貨物駅の跡も残っていた。



最後に見に行ったのは中津市内にある耶馬渓線の車両を使った鉄道レストラン。
昭和50年の廃止まで走っていたオリジナルのキハ102。まだあるはず。
この頃は特急キハ82みたいな色に塗り替えられていた。



不思議な鉄道クレーン。こんなものを保存してくれたのがうれしいが一体どうするのだろう。

ということで長い一日が終わりました。
夕暮れ迫る大分県中津から帰る道での頭の中は、その日の抱えきれない出来事や出会った鉄道の車両や駅のあと、そして荘厳な風景への感動などでいっぱいでした。
感受性の鋭い10代の後半にこういう体験が出来たことは、二輪をいつも快く出してくれた友人Kに感謝しきれません。
またオリンパスOM-1をプレゼントしてくれた亡き父がいたからこれだけの記録が残せたのだと思います。

いま当時の親父くらいの歳になり人生のくたびれも感じていますが、こういう写真で「あの日」を再現していると少し元気も出てきました。
人生って本当に判らないもので、またいろんなことに挑戦したいと思いました。長文おつきあい、ありがとう。
2010 02/13 13:13:42 | 日記 | Comment(0)
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